適合あれこれ

3.7億円で売ることの凡庸さと、それを売り切るブランドの凄さ

世界に 3台なんだとさ。

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写真は元記事より転載。

たぶんすぐにリンク切れしちゃうので全文引用しておこう。

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微調整どころではなく

その分野の専門職として飯を食ってます。

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元記事はこれ

 商品性のかなりのウェイトを占めるのが元記事で言われている”微調整”。Matching とか適合とかキャリブレーションとか輸送機器業界ではそんな用語を使う。どんなに優れたソフトウェアロジックを搭載してもパラメータの設定を誤るとすべてが台無し。技術用件をみたしつつも、あくまで人間の感性に逆らうことなく自然に感じられるように創ることが最優先。

 Man-Machine のインターフェースに割り込んでいることを悟られてはならない。

 そこで飯を喰う適合屋の仕事は運転技術について大変な技量を持っている開発ドライバー、開発ライダーと呼ばれる人たちの評価を制御定数に落とし込むこと。

 彼 (彼女)ら車両やエンジンの微少な差を感じ取って、その記憶がフレッシュなうちにできる限りノートに書き留めながら感性をとぎすませて評価しながら商品を作り込むわけです。がそれでもやっぱり1日のうち、1週間のうちでは微妙に評価基準がドリフトすることも。人間ですから。また、彼(彼女)らの表現方法はまちまちなので評価を聞きながら、

1. 挙動を想像し (データを見て現象を理解し)
2. 変更するべきパラメータを抽出し
3. 変更量を決める

こんなプロセスでまさに ”翻訳作業”。評価者の身振り手振りはかわいい方で 「パキーんって感じ」 「ガッツ感が・・・」 「なんかこう、ガーッと」 「うにょうにょしてて」 ・・・・・さっぱりわかりませんね。開発してるモデルのカテゴリー(グループ)ごとに表現方法が違うようで、言ってみれば方言。わかったようなわからないような禅問答も日常茶飯事。

 それでもまぁ、製品は粛々と日々ラインオフしていくわけです。

 

エンジニア サティスファクション

とは。
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 先日オブザーバーとして出席したとあるモデルの開発ミーティングで聞いた一言。開発初期とは言え、その現状は芳しくなく、競合他モデルに対して秀でたところが何一つ無い。解決策も迷走気味。新技術織り込みの進捗状況ばかりが声高に語られていたので、いささか閉口したのだが、この状況を見事に表現したのが今日のエントリーの表題。簡単に言ってしまえば自慰行為に等しい。

 誰のための技術であるか、という視点が完全に欠落したまま、その技術を採用する、採用に際しての困難を克服することに意味を見いだしており、その結果コンシューマーが享受できるメリットを量れないまま”新技術”を押し売りする。確かに、”それ(新技術、新機構)がついていること”がウリになった時代もあった。

”なんだかわからんが最新技術” に惹かれたり
”カタログスペック至上主義” であったり。

 技術最前面主義という土俵では比較対照を容易に得られるため作り手(売り手)、買い手の両方がその価値観を安易に共有できた。

 それを求める客層に対して、技術 (それが疑似科学であっても、本物の最新技術であっても) をウリにする、競合他製品よりもスペックが(たとえそれがたいして意味のない数字であっても)上であることこそが製品を作り出す多くの日本メーカーのビジネスモデルであり、それで成功してきたことは疑い無い事実である。

 しかし。

 そろそろ、技術はその存在感を消すべきだ、と思う。枯れた、あるいは最新の技術はモノを作り出すための手段でしかないし、そうならなければならない。最前面に出してウリにしよう、など愚の骨頂。競合に対して十分なアドバンテージになるほどのビッグジャンプは成熟市場ではあり得ない。

こんなものに効果があったら

メーカーは採用してますね、10年前に。ニュースソースはこちら
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環境と燃費が最大の売りになる現在のコンシューマー向け輸送機器業界において装着するだけ、混ぜるだけで燃費が向上するようなお手軽グッズに本当に効果があるのならば。

あ、写真の一部と本文は直接的な関係ありません。念のため。

ガソリン機関、ディーゼル機関の熱効率はそれこそ血のにじむようなエンジニアの努力によって贅肉をそぎ落としながら向上してきてるわけで。世の中にはびこるこの手のインチキ(敢えてインチキ、と表現する)グッズに効果があるとしたら新しい触媒の発見と同じくらいの大変なインパクトになるわけで。

 実際にさむやぁが給料をもらっている某輸送機器メーカーにもたまにインチキグッズの営業さんが売り込みに来ます。あまりにインチキな場合は話だけは聞きますけどね。どんな口上を述べるか楽しみなんで。きちんとした解析データや技術的根拠なんかを提出してくださいね、とお願いするとたいてい二度と連絡は来ません。エンジン技術の総本山に挑むんだからもう少し勉強して来た方がいいですよって一応アドバイスします。やさしく。

ホントに効果がありそう、といった技術の話は売り込みがあっても聞かない。事前に電話があった時点で丁重にお断りします。というのも話を聞くだけで類似、応用技術で将来的に特許取得できた場合に話をしたという事実が特許訴訟に影響を及ぼすから。まぁ、ほとんどありませんが。

ちなみに。さむやぁもお恥ずかしながらガンスパークなるモノを原チャリに装着して ”すっげー調子よくなった” とか言っていたのは高校生の頃。今をさかのぼること20数年前。

信じる者は掬われる。宗教と一緒ですね。


確かに嘘はつかないんだが

判断のしきい値は人間が決めるわけで。

ニュースは半分聞き流していたが、映像にちょっとあきれた。問題の部分はここで見つけることができた。

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原稿は元のページからは落ちてしまっているようだがキャッシュからはまだ拾える。

*** ここから ***
「PETーCT」は、人の全身の内部を詳細に撮影することができる画像診断装置で、がんなどの病変を見極めるには、色の濃さや形の微妙な違いを読み取る専門の知識や経験が必要とされています。横浜国立大学と横浜市立大学附属病院の研究グループは、経験の違いによらずに同じレベルの診断ができるシステムを作ろうと、専門の医師6人から、診断の際にどのような点に注目してがんと判断するのか詳しく聞きました。そして、この分析結果を人工知能に組み込むことで、がんを自動的に診断するシステムを開発しました。このシステムを使って31人の患者の画像を診断したところ、肺がんや乳がんなど10種類のがんを見つけることができたということです。横浜市立大学附属病院の鈴木晶子助教は「疲れや体調不良でも、がんを見落とすおそれがある。がんが疑われる部分を自動的に見つけてくれれば、診断の向上にもつながる」と話しています。このシステムは、ぼうこうがんなど一部のがんにはまだ対応できないということで、研究グループでは、症例数を増やして精度を上げ、医師の診断の支援に役立てたいとしています。
*** ここまで ***

 さて。

 高度なスキルを持った専門職の技術をデータベース化して利用するエキスパートシステムの開発は PC が実用になり出した20年以上前に研究、開発されていたのだが今回のシステムはこの範疇を出ていないような印象を受けるのだがどうだろう。

 確かにコンピュータはうそをつかないし、常軌を逸した長時間勤務からくる疲れや、前日の夫婦喧嘩からくる情緒不安定などの不確定要素を取り除いた安定的な判断を行うことがこのシステムのもっとも得意とするところだろう。

 判断に迷うようなグレーゾーンに関する多くのファクターのそれぞれに対して重み付けを行い、総合的にシロか、クロか、を決めるしきい値を決めるのは専門の医師の経験であり、経験を数値化して入力するのは適合屋の仕事である。判定精度を上げるために腐心している裏方の仕事であるが、これがもっとも重要なポイントであることをこのニュースは伝えていない。結局は四捨五入なのか、五捨六入なのかを決めなければなにもはじまらないのだ。




  

その翼を広げられるところ

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 はこの国にはあるのか。

 非合法な世界の議論の余地はなし。公道で必要な出力などたかが知れている。サーキットに持ち込むユーザーであってもほとんどの使用環境は公道(のはず。競技専用車両として購入する一般ユーザーはこの際棚上げしても問題なかろう)。

 それでは。一般道でこの高額に見合うだけの商品性を出せるかどうか、が適合屋の腕の見せ所である。もちろんアクセルを床まで踏む、高速道路の合流加速で非日常、は持っているポテンシャルからしてさほど難しくはない。はず。

 アクセルを踏まなければ、非合法の世界へ踏み込まなければ楽しめない商品はある意味失格である、とさむやぁは考える。その性能の 20% も使わない日常でも高性能の片鱗を見せつつ、楽しめる商品に仕上がっているのだろうか。信号待ちからスルスルっと走り出す。ステアリングをきる。ノーズがスッと向きを変える・・・。man-machine インターフェースがどのレベルで出来上がっているかが興味のあるところだ。高出力の領域ばかりで日常域ではストレスのみ、では所有感も半減すると思うのだが、さて、出来映えはいかに。

Regulation

 ってなんだろ?

Wikipedia (http://en.wikipedia.org/wiki/Regulation) で参照できる "Regulation as a legal term (法律用語としての規制)" が私に一番関係ある Regulation 。輸送機器の排ガス Regulation に車両を適合させるが私の食いぶち。

 何のことやらさっぱりわからないので整理して補足。

 工業製品は販売仕向地の Regulation に適合していなければ売ることはできない。輸送機器の排ガスについてはある (定められた) モードを走行して排出されるガスの成分毎の排出量がある(定められた)規制値以下でなければならないわけだが、メーカーの担当者は限られたリソースのなかでその規制値にいかに適合させるか、あわよくば排出量を減らして税優遇の対象車にできないか、に日々頭を悩ませている。(はず。私だけ?)

 結果、ここ数年日本国内で販売された乗用車はほとんどが税優遇の対象になっちゃって、環境的にはハッピーだけどお国的には税収が減ってアンハッピー。優遇率下げられたり、”なんだ、規制値低くてもできるじゃん”と規制値を引き下げられたりして自分で自分の首を絞めてますね。

 何事も過ぎたるは及ばざるが如し。適合屋に求められるのはバランス感覚と微妙なさじ加減なんだなぁ、と。三流エンジニアはまだまだ精進が足りません。