ユーザーインターフェース

メタ安定状態

 を体験する。

Impreza
(画像は SUBARU の HP より転載)

 不景気のためか夏休みをちょっとずらすと意外と空いていて安価で海外逃亡できることに気が付きハワイへ。

 現地で借りたインプレッサのクルーズコントロールは昨今流行の前走車をセンシングして車間距離をコントロールするような高度なものではなく単純に速度を一定に保つ昔ながらのタイプ。バブル期には声高に宣伝されたこの装備、学術的には渋滞緩和につながるの研究発表されている。それでもなかなかその恩恵にあずかることもなく最近は微妙な立ち位置にあるように思っていたのだが実はその効果は想像以上のものだった。

 ハワイの乗用車のクルーズコントロールの普及率はざっくり調べても具体的な数字をみつけられなかったのだがフリーウェイを走る限り ”かなりの確率” といって差し支えないと思う。というのもフリーウェイ走行中に上り坂でも下り坂でもクルーズコントロール制御下にある自車と他車との速度差がほとんど出ない状況に多く遭遇したからだ。

メタ安定状態渋滞学に よると渋滞に移行する直前の効率の良い(かつ不安定で渋滞状態に容易に移行する)走行状態であるとのこと。短い車間距離、高速(制限速度に近い)で多くの 車両が併走する状態で、緩い上り坂で前車の速度が落ち、後続車がブレーキを踏むとそのブレーキランプにより更に後続がブレーキをかけ、順々に速度が落ちて 渋滞へ移行する、そんな状態と考えればだいたい間違っていないだろう。

 自分もクルコン、他もクルコン(と思われる)、という状況では日本の高速道路では考えられないような短い車間距離での高速巡航、まさにメタ安定状態にハマる。上り坂でも前車の速度は落ちず。夜間の東名高速のような車間距離 15m 以下で延々と繋がる大型トラックのような光景が5車線のフリーウェイで展開される。

 先日日本で使用したレンタカーにはインパネに瞬時燃費が表示されていて、アクセルを踏み込むと罪悪感をあおるかのように瞬時燃費は悪化し、上り坂でも極力アクセルを踏まない運転になるように誘導しているかのようであった。そんな運転が渋滞に繋がるとしたら、個ではエコでも全としてはエコではなく、アクセルを踏んで少しでも渋滞を緩和した方がよっぽどエコではないかと思う。

 確かに瞬時燃費はインジェクタの駆動時間にいくつかの補正係数をかければ簡単に算出できるし、インパネにディスプレイとして出すことは容易。個であるユーザーへの訴求もしやすい。

 それでもメーカーとしてエコを謳うのであれば実は全車クルコン標準装備で車社会全体として渋滞緩和で、結果としてエコ、というのも一つのアプローチだと思う。残念ながら、今からアクションを起こしても混在期に効果が出にくいという難点もある上、現存車の大半がクルコン標準装備車に入れ替わるには 10年近くかかってしまうのだが。

UI がFunction を越える日のために

そして適合屋のモチベーションのために。

Photo

ちょっと前の記事だが、あちこちで目に付くようになったので尻馬に乗ってみる。

元記事 :機能やボタンが多すぎ!! 使いにくいUIのデジタル家電が発売されてしまう本当の理由

カテゴリーが異なるがモノづくりに携わる技術屋の一人として日々痛感する。

”責任を問われる立案者・決裁者ともに「多少複雑になってもかまわず機能を上積みしていくこと」は保身のためを考えるとリスクが少ない手法

間違いない。ことコンシューマー向けの輸送機器の開発現場においてもこれ以上にその実体を表す表現はない。大コケもないが、イノベーションを巻き起こす可能性は微塵もない。うまく行ってせいぜい余所のシェアをちょっと多めに喰うくらいである。

そこに機能を削る、などという発想はあり得ず、販売時の優位性を求めるために必要もない(かつ場合によっては技術的に成熟していない) 新機能を織り込んで ”世界初” と謳う。一生使われないであろう機能でもそれなりの作り込みをしなければならないのは苦痛以外の何物でもない。

が、その一方で

”結果、煮ても焼いても食えないUIのデジタル家電が出来上がってしまうのである”

にはやや違和感がある。

機能が満載である=食えないUI 

ではない。食えない UI は UI かくあるべし、のポリシーで UI を設計していないために生み出される。搭載した機能がコンシューマーに提供する際に明確に優先順位づけされ、機能と同じ、あるいはその何倍かの労力をかけて UI を設計すれば満載の機能においても食えるUI たりえるし、イノベーションを起こすことだって可能なのだ。iPod がそれを証明している。

使い物にならない MP3 プレーヤーのマーケットにむしろ機能は競合他製品より多くして登場しながら Apple 特有の秀逸な UI で市場を席巻した。iPhone も然り。簡単にやるなら拡大、縮小のボタンを付けたり、適当なマルチファンクションのボタンにその機能を割り付けるところを、指をつまむ、開く動作で実現する。無理に機能を削った ”割り切り” というメーカーの独りよがりをコンシューマーに押しつけていない。

UI が Function を越える日はそう遠くない。そこにウェイトを置けるメーカーの技術屋でありたいと切に思う。

あなたのナビは

北上固定?

Seoul_subway1_4  
 出張先のソウルの地下鉄で。

 ソウルの地下鉄は初乗り W900 で 12/1 あたりのレートだと日本円で110円くらい。乗り換えも充実していてかなりの距離までこの金額。追加されても日本の感覚だと ”え、こんなもん?”位。2泊3日の短期滞在なのに T money なる suica みたいなカードを購入して非常に便利に活用した。

 が、これって普通か?と面食らったのが案内表示。

 1枚目の写真。案内表示の左上をよくよく見てみると
Seoul_subway2_2

 ・・・・・北が下。

 確かにこの看板に向かって左は東である。乗り換えのための連絡口の案内も書いてある地図が見た目と同じ方向なのは便利。かもしれない。

 この案内表示板の裏側を見ると

Seoul_subway3

 当然ながら北が上。

 ランドマークの見えない地下において看板 (地図) を正面に見て左右が地図上の左右になるのはある意味正しい。目前の地図のみで情報を処理する限り、そこに方位の概念は必要なくなるからだ。

 が、残念ながらビジターであるさむやぁにとって、ホテルでもらった地下鉄路線図や、宿泊先明洞近辺の記載があるソウル市街図との整合がとれないのには非常に困った。

 看板の裏表で天地が逆の地図を見たために、乗り換えで逆方向に向かったの1回ではなかったのは実は内緒だ。さらに言うと逆方向に乗ったのに気がつかず、戻る時間まで含めて 40分もロスして危うく先方とのアポに遅れそうになったのは・・・・もっと内緒だ。


そのような使い方は想定していない

は許されるか。

 今時電気仕掛けのお世話になっていないエンジンって輸送機器に関する限り非常に少ないわけで、燃料から点火からその他デバイスに至るまで車両についている電気仕掛けは殆どコンピュータに繋がってる。

 排ガスを Regulation に適合させるって作業はコンピュータがコントロールするデバイスを動かすロジックを決めたり、その制御定数を決めるのが主。どんな優秀な制御でも制御定数が適切でないときちんと動かないのはエンジンに限らず。

 さて本題。日々の適合作業に必要なソフトウェアが非常に出来が悪くて作業の効率がさっぱり上がらない。仕方が無くメーカーを呼んで改善要望を出したのだけれどもそこで返ってきたコメントが今日のエントリーの表題。

”そのような使い方は想定していないので、直すつもりはありません”

 ・・・・・・絶句。そりゃ確かに広く世の中に出回るソフトウェアじゃないし、手間かけられないものわかるんだけど。

 タイムリーにもソフトウェアの開発者がユーザーとの関係を書いた記事を見つけた。

http://satoshi.blogs.com/life/2007/09/post-8.html

 自分がごく一部のヘビーユーザーなのかは微妙だが、サイレントマジョリティが現状満足派なのか、不具合容認(あきらめ)派なのかの判断は微妙だ。結局開発者のセンスに任されるのだろうか?

 受注生産の一品ものであれ、大量生産の汎用品であれ、製品として世の中に出たものが何らかの不具合を起こした時にユーザーに対して開発者の”想定していない”は許されるものではないわけで。貧困な想像力は致命的な欠陥に繋がる。人のフリ見て我がフリ直せですね。