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プリウスのブレーキに思う。

大半のマスコミ、ブロガーと同じように尻馬に乗ってみる。

ユーザーへの連絡や各国の監督官庁への対応が結果として後手に回った件については、マスコミがトヨタバッシングをしているアメリカの報道の尻馬に乗ってさんざん展開していて食傷気味なので割愛。リコールも正式に発表されたので同じ業界の適合屋としてはちょっと引いた立場で技術的な考察をしようと思う。(今回はあくまで、さむやぁの推測に基づくもの。記事の正確性は担保しません)

Toyota

オフィシャルにはABSの制御プログラムの不具合とされている。

が。さむやぁはユーザーへ説明するのにわかりやすい言葉として ”プログラム” を使っているが、個人的には ”制御定数” の設定が適切でなかったと考えている。残念ながらプログラムにせよ制御定数にせよ変更内容を確認することはできないのであくまで推測の域を出ないが。

回生ブレーキとコンベンショナルなブレーキの使用比率はブレーキの踏力、そのときの車速他の要因と ”ABS 制御プログラム” (の中の制御定数) (()内はさむやぁ追記) により決定される。回生の効率や安全性、運転手の受けるフィーリングを作り込む中で制御定数は決定されるが今回のプリウスは 燃費を追求=回生にウェイトを置く としていたのだろう。

対策内容は踏力の弱い (=減速度の小さい) 領域で回生ブレーキを使用せず、最初から通常のディスクブレーキを使用 (あるいは比率を大きく) することで異種のブレーキの遷移のタイムラグを減らしていると思われる。

この変更は燃費が最大の売りであるハイブリッド車に対して重要な意味を持つ。回生ブレーキの使用比率を落とす、ということはすなわち燃費に対して少なからずデメリットがある、ということ。今回、変更を加えた部分で損なう燃費がどれだけであったかは不明であるがあるレベルで推測はつく。

変更した制御定数を使って販売している各国のレギュレーションに基づく認定と燃費や排ガスの計測値、申請値、公称値に変更があった場合、認定受験を再度行い、その後認可、というプロセスを経なければならないので今回のような短時間での対応は無理である。

裏を返せば、燃費の悪化はこれらの値については再受験を行う必要のないレベルであるということ。つまり誤差レベル。さらに深読みすればトヨタが市場からこの問題を吸い上げた昨秋から完成車への対策織り込みが今年 1月までの期間でそれらの数値に不整合が出ないレベルに作り込んだ、ということであろう。対策が遅い、という向きもあるが、技術的な側面だけ見れば実際にはこれ以上のスピードは現実的には無理である。

問題が出た直後に対策案が提示されたとしたら、それは市場で問題が出る前にすでにメーカー内で問題として認識されていた、ということでむしろその方が悪質だと思うがいかがだろう?

さむやぁも制御定数を扱う日々。対岸の火事、ではすまされない・・・。

ちなみに。

回生ブレーキからコンベンショナルブレーキへの遷移不具合で空走感が出てしまう件については大変恐ろしいことで、あってはならないということに異論はないが、いまだに ABS についてどうも勘違いしているブログやニュース記事へのコメントが多いため、ここに書いておく。間違っていたら専門の方、ご指摘いただければ幸いです。

どんなμの路面であっても制動距離が一番短いのは車輪がフルロックの状態。ABS が効くとフルロックの状態が短くなるため、実は制動距離は長くなる。それでも ABS を採用するのはフルロックが必要なほどの制動時にもハンドルを切って衝突回避動作が行えるため。ABS がついてるからブレーキが利く、ではないことに注意。いざ、というときは床が抜けそうな勢いでブレーキを踏んでハンドルを操作して回避、が大切。






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